コラム

2023.11.03

北十間川のいきものワークショップを実施しました

すみだ水族館はこの8月、北十間川のいきものを観察するワークショップ「夏休みすみだ環境プログラム」を実施しました。これは令和4年より連携協定を締結している墨田区と協力し、環境の保全に向け意識の向上を図ることを目的としたものです。
北十間川は隅田川、旧中川に接続する江戸時代に整備された用水路です。現在はいきものに親しめる墨田区の水辺の一つとしても知られています。‌本コラムでは、当日の模様をレポートします!

北十間川のいきものワークショップとは

北十間川は隅田川、旧中川に接続する江戸時代に整備された用水路です。現在は遊覧船の運行やカヌーなどのレクリエーションでの利用、ハゼ釣りなどに興じる人の姿も多く、いきものに親しめる墨田区の水辺の一つとしても知られています。‌

すみだ水族館はこの8月、北十間川のいきものを観察するワークショップ「夏休みすみだ環境プログラム」を実施しました。これは令和4年より連携協定を締結している墨田区と協力し、環境の保全に向け意識の向上を図ることを目的としたもので、墨田区内在住の小学生とその保護者10組20名の方々にご参加いただきました。‌

ワークショップの模様

ワークショップは午前10時スタート。それと同時に、各自たも網とバケツを持って、いきものを採集します。飼育スタッフがサポートしながら、北十間川の水中深くまで採集していきます。みなさん時間を忘れて、夢中になっている様子。最初は上手にできなかった子も、飼育スタッフが手本を見せると、コツをつかんできたようです。およそ1時間後、スタート地点に再集合します。いきものは採集できたでしょうか。‌

全員がそろったところで、参加者のみなさんが採集したいきものと、飼育スタッフが前日に仕掛けた漁具で採集できたいきものを観察します。観察時に使用したのが、飼育スタッフ手製の、これまで北十間川で確認したことがあるいきもののリスト。飼育スタッフがいきものをミルソー(透明観察そう)に入れ、懐中電灯で上から光を当て、いきものの名前や特徴の説明をすると、参加者のみなさんは「いたーっ!」「すごいっ!」などと声を上げながらリストを熱心に確認していました。‌

昨年のワークショップや事前調査と比較して、当日は目視で見ることのできたいきものはやや少なめでしたが、参加者のみなさんからは「深くまでたも網を入れたら、いきものが捕まえられて嬉しかった」「近所の川にこんなにいきものが住んでいるとは思わなかった」などの驚きや喜びを感じさせるコメントが寄せられました。真夏の暑い中でのワークショップでしたが、飼育スタッフのいきもの解説を聞いている最中も集中が途切れることはなく、みなさんの一所懸命なまなざしがとても印象的でした。また、子どもたちだけでなく、保護者のみなさまも飼育スタッフの豆知識を楽しんで聞いてくださるなど、終始和やかなワークショップとなりました。‌


飼育スタッフによるいきもの解説


たも網を使って水中深くまで採集

調査を終えて

北十間川は、すみだ水族館のある東京スカイツリータウンの目の前を流れている河川です。透明度は低く、いのちの息遣いも聞こえそうのない街中の川ですが、このような環境にも多くのいきものが暮らしています。‌

私たちは自然から恩恵を受けて生きているからこそ、その自然を守っていく必要があります。今回の取り組みを通して、参加者のみなさんのみならず、このコラムをご覧になったみなさまも、身近な自然やそこに暮らすいきものたちのためにできることを、少しでも考えるきっかけになると嬉しく思います。‌

墨田区とすみだ水族館が締結した連携協定は、協業による地域のさらなる発展を目指すことが目的です。墨田区と協力して、水族館のいきものに関する知見を活用し、環境教育を実施することは、すみだ水族館のAQTION!のテーマでもある社会課題に対する取組の一つです。水族館にしか担うことのできない活動を通して、これからもこどもたちの未来を豊かに変えていきます。‌

今回のワークショップで観察したいきものの一部を、すみだ水族館で展示しています。‌
身近なところで暮らしているいきものに、ぜひ会いに来てください。‌

すみだ水族館で展示している北十間川のいきものたち


ガンテンイシヨウジ


ビリンゴ


マハゼ


シモフリシマハゼ


ユビナガスジエビ

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